「4匹の蝿」 手塚治虫は本作を見たのだろうか?







アルジェント監督の最初期作品。「ザ・ホラー・ムービーズ」に掲載されていたのでタイトルは知っていたがビデオもDVDも出なかったので見られず。
権利関係で揉めて封印作品になっていたのを知ったのはネット時代になってから。近年になって権利問題が解消されメデタくDVDがリリース、鑑賞することが出来た。

残念ながら正直デキはイマイチ。展開は平坦、殺害シーンも大人しくコメディ描写も浮いている。このテの作品は「怪しい奴は犯人ではない」というお約束があるのだが本作は「怪しい奴が本当に犯人でしたぁ」という直球ストレートな展開。
八つ当たりとしか言いようが無い殺害動機も無茶苦茶。動機の唐突さは「誕生日はもう来ない」と良い勝負。

文句ばかり並び立てているがラストのスローモーション撮影による真犯人の死にっぷりとエンニオ・モリコーネ大先生の傑作サウンドトラックは最高。本作を見てよかったと思わせてくれる。
真犯人がつけてるニコニコ仮面が超絶不気味。こんなのと夜道で出くわしたら大の男でも気絶するわな(笑)。後の「サスペリア2」のテケテケ人形に通じるものがあり、アルジェント監督は昔から美術・デザインに関するセンスが卓越していたことがわかる。

主演のマイケル・ブランドンはハンサムだがチンピラっぽくて華がない。アルジェントもスケジュールの都合で不本意ながら起用したという経緯があり精彩を欠く。当初の希望どうりテレンス・スタンプが主演していれば作品の格も上がったと思う。
ヒロインは「炎のいけにえ」のミムジー・ファーマー。ジャーロの重要作品2作に出演して歴史に名前が残った。映画秘宝の「セクシーダイナマイト猛爆撃」では「ノイローゼ女役専門」「イライラする演技」など散々な言われ様だが自分は結構好きでござる。

「被害者が最後に見た映像が眼球に焼き付いているという可能性がある」という事で警察は被害者の目から情報を取り出そうとする。その方法がビックリ仰天、眼球を抜き出してレーザー光線を照射する豪快なやり方。脚本家曰く「新聞で読んだ事実に基いている」そうだがホンマかいな。
眼球に写っていた映像がタイトルの「4匹の蝿」というわけでございます。この映像が鍵になり真相がわかる筋立てだが、あまり説得力はない。蝿のペンダントなんて付けないよな。フツー。

この映画を見て真っ先に連想したのが漫画「ブラック・ジャック」の「春一番」。殺人の被害者の角膜を移植された女性の前に度々幻想のように現れるハンサムな青年の映像。女性はその青年に恋してしまうが青年の正体は角膜提供者が殺される最後の瞬間に見た殺人鬼だったというお話。本作に筋がよく似てる。手塚先生はこの映画を見たんだろうか?。本作はテレビで放映されたという話もあり(事実なら吹替が存在するはずで音源が残っていれば大変貴重)可能性はありそう。

目に死ぬ瞬間の映像が映るという迷信が西洋にはあるそうで、昔のギャングは人を殺す時に証拠映像が残らないよう目ン玉を撃ち抜く奴がいたとか。「ラスベガスを作った男」として有名なマフィアの幹部ベンジャミン・シーゲルは両目をブチ抜かれて暗殺されている。映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」、「ゴッドファーザー」にも同様の描写がある。


監督 ダリオ・アルジェント

マイケル・ブランドン/ミムジー・ファーマー







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