「サイコ2」 画角の謎







公開告知を聞いた時は誰もが耳を疑った「サイコ」の続編。前作から23年も経過している上にヒッチコックとは無関係なスタッフが作るという無茶な企画だが実際に見てみたらアラ意外、自分は前作以上に楽しめた。
前作はワンアイデアストーリーだったが本作は前科者の社会復帰の難しさと被害者遺族の悪感情を主軸にした面白いサスペンスに仕上がっている。
なンといっても素晴らしいのがジェリー・ゴールドスミス先生の大傑作サウンドトラック。バーナード・ハーマンとはまったく違ったアプローチで物悲しく美しい旋律が心にしみる。オープニングでメインテーマがかかった時点でグッと引き込まれる。

自分が録画した放送吹替版は106分の延長版だった。ライラと保安官の会話の一部がカットされている。ノーカット版が存在するかは不明。松橋登のパーキンスの吹替は大変見事な演技。

DVDは一番最初に出たサイコBOX版を自分は購入した。3と4はいらなかったが単品販売がなかったので仕方なく。2はPALの早回し版だったのでガッカリしたがひとつ驚いたことがあった。画角がスタンダードだったのである。当時は横長テレビの普及率が上がったせいかスタンダード撮影作品は何でも上下をちょん切ってビスタサイズで収録される傾向にあった。公開時のオリジナルサイズがどうあれ自分は情報量の多いスタンダードサイズの方が好みだが世間様の好みはそうではない。そんな時期に4:3画角で収録されていた2はスタンダードがオリジナルサイズなのかと思ったのだが…。
2013年にアメリカで本作のBDがリリースされたので個人輸入した。販売元はShout! Factory 。最近のメジャーはソフトリリースの意欲がすっかり減退していて、有名作でも直接売らず別会社に販売権を投げちまう傾向にあり本作もそのひとつというわけである。
Shout! Factory自体は品質に定評があるのでBDも画質は良かったが画角はトリミングビスタだった。となるとDVDのスタンダードは一体何だったのかという謎が残る。IMBDの記録ではビスタがオリジナルサイズと表記されているが、あそこの画角データもあまりあてにはならないし。
実は前作の「サイコ」もオリジナルサイズに関しては議論があって真相ははっきりしない。撮影はスタンダードだがトリミングサイズに関しては不明な点が多い。ヒッチコックはテレビドラマを意識して「サイコ」を制作したので4:3比率こそがディレクターズカットだという見方もある。
大のヒッチファンだったリチャード・フランクリン監督は前作を徹底的に研究して本作に挑んだが画角の謎まであえて真似たのだろうか。


監督 リチャード・フランクリン

アンソニー・パーキンス(松橋登)/メグ・ティリー(戸田恵子)/ヴェラ・マイルズ(中西妙子)/ロバート・ロジア(小林勝彦)





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