「バグジー」 ラスベガスを作った男







実在したマフィアの幹部ベンジャミン・シーゲルを題材にした実録物。バグジーはシーゲルのアダ名で「きちがい」「ばい菌」の意味。

NYマフィアの幹部兼殺し屋シーゲル(ウォーレン・ベイティ)は勢力拡大のため西海岸に派遣される。地元のギャング、ミッキー・コーエン(ハーヴェイ・カイテル)を味方に付けたシーゲルは地元勢の犯罪組織を平定し実績を上げていく。ラスベガスの賭博所を視察した際に彼は砂漠のど真ん中に巨大なカジノホテルを立てる計画を思いつく。組織のボスであるルシアーノ(ビル・グレアム)の承認を得たシーゲルはカジノ建設に熱中するが資金の管理を愛人のヴァージニア・ヒル(アネット・ベニング)に任せたために破滅の道を突き進んでいく。

シーゲルはネバダ州は賭博が合法であることに目をつけ、不毛な砂漠地帯ラスベガスに大規模なカジノ「フラミンゴ」を建設する。これが現在まで続く巨大歓楽街ラスベガスの始まりとされている。当時のマフィアは賭博関連のリソースをキューバに集中しており(キューバの独裁者バティスタとアメリカ資本及びマフィアはズブズブの関係だった)、砂漠のど真ん中でカジノを営業するなど正気の沙汰とは思えなかったはずだが「ホテルの中に娯楽施設を作って外に出なくても良い」というアイデアが画期的だった。本作の筋はこのような史実に基いている(実際はかなり違うが広く知られている話が元になっている)。

実在したマフィアの有名どころが多数登場、マフィアの興亡史・ラスベガスの誕生物語として普通に作っていれば面白く仕上がっていたと思うが何故かシーゲルとヒルの不倫愛・痴話喧嘩に話を絞っており大失敗している。自己中男と性悪女の諍いなど眺めても観客が喜ぶわけがない。「レインマン」でオスカーを獲ったバリー・レヴィンソンの演出も本作ではまったく冴えず、モリコーネ先生も駄作の匂いを嗅ぎ取ったかサントラの出来も全然駄目。当然世評も悪くて興行も3000万ドルの大赤字だった。

ニヤケ顔のベイティは凶暴なシーゲルの役に合わず明らかにミスキャスト。製作にも名を連ねているベイティは現場でもやりたい放題だったらしい。自分の宣伝写真を取らせるために100万ドルも浪費したそうな。ベニングとは本作で知り合った縁で後に結婚した。
脇のキャラクター・俳優は結構魅力的で見るもの有り。
マイヤー・ランスキーは組織の財政顧問で最高幹部でシーゲルの親友だった。ゴッドファーザーPARTⅡのハイマン・ロスのモデルになったことでも有名。イタリアマフィアでは珍しいユダヤ系である。本作では名優ベン・キングズレーが力演、流石の貫禄。
粗野だが義理堅いコーエン役にハーヴェイ・カイテル。
ルシアーノ役に音楽界の大物・名プロモーターであるビル・グレアムを配置する辺り粋なキャスティング。
あたしのお気に入りジョー・マンテーニャが映画スタージョージ・ラフト役で登場。いかにもイタリアンな容貌の俳優でマフィア役なら任せとけとばかり「ゴッドファーザーPARTⅢ」のジョーイ・ザザ役を始め「痩せゆく男」などで大暴れしている。「レイジング・ブレット」の誠実な刑事役も良かったな。

吹替はソフト版のみ。小川真司のベイティの声は上品すぎて正直合わない。大木民夫のキングズレーは適役。大木氏はゴッドファーザーPARTⅡでハイマンの声もやっていたのでイメージがかぶる。


監督 バリー・レヴィンソン

ウォーレン・ベイティ(小川真司)/ ヴァージニア・ヒル(吉田理保子)/ ベン・キングズレー(大木民夫)/ジョー・マンテーニャ (西村知道)







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