「アイアン・イーグル」 ポワロ先生が悪の親玉

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「トップガン」と競作になった戦闘機ドンパチ映画。公開は本作のほうがちょっとだけ早い。んで、出来の方はトップガンとはくらべるのも失礼な大馬鹿作。予算がなかったのか凄く安っぽい作り。制作費は戦闘機のドッグファイトシーンに全フリしたらしい。
中東の某ならず者国家に撃墜され死刑宣告された戦闘機パイロットの父親を救出するべく、高校生の息子がF-16をかっぱらって殴りこむというプロットが凄い。敵国の精油施設を破壊して「産油国から石油輸入国に転落だぁ」などとほざく姿には戦慄を覚える。

作戦立案とF-16を確保するまでの過程がショボくて退屈なのが惜しいが、主人公のダグ(ジェイソン・ゲドリック)が協力者のチャッピー(ルイス・ゴセット・ジュニア)と共にF-16に乗って出撃してからの展開はそれなりに楽しめる。娯楽映画としてはまずまずの水準。
イスラエル空軍全面協力の空撮シーンはかなりの迫力。本作唯一の売りで一点豪華主義だな。アメリカ側はF-16、敵側はイスラエルの国産戦闘機「クフィール」をミグ役で使用。クフィールは「エリア88」の愛読者にはお馴染みのデルタ翼機で実際に跳んでる姿を見れるのは極めて貴重。戦闘機ファン感涙。本作の空戦フッテージは複数の別作品で流用されている。ジョナサン・モストウ監督の「デビルスフライト」とか。
戦闘機の爆発シーンや製油所破壊・陸戦隊爆撃シーンはミニチュア全開のへっぽこな特撮なのが減点材料。トップガンはミサイル着弾シーンにもこだわって撮影していたので細かい点で差が際立つ。

サントラは名匠ベイジル・ボールドゥリスが担当。曲の質は良好でトップガン以上に燃えるスコア。歌はクイーンやディオなどが参加。アルバムはコンピレーション版のみでオリジナル・サウンドトラックは未発売。残念。

「愛と青春の旅だち」の鬼教官役でで映画史に名を残したルイス・ゴセット・ジュニアは本作では空軍の予備役将校役。軍人役はお手の物でさすがの貫禄。吹替は内海賢二でこれも適役。
主人公の父親役は「地獄の7人」「ニア・ダーク/月夜の出来事」のティム・トマーソン。吹替は地獄の7人と同じく麦人が担当。
特攻野郎Aチームのデッカー大佐ことランス・リガルトが将軍役で出演。チョイ役だけど。

本作の敵国のならず者国家はリビアがモデル。「超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ」でも名指しで敵にされてたな。本作はアメリカ海軍のF-14がリビア空軍のスホーイ戦闘機を撃墜したシドラ湾事件がモチーフになっているらしい。地中海が舞台になっている辺り地理的にも同じだ。
本作の個人的見所はカダフィをモデルにしたと思われる軍の司令官を名探偵ポワロ役で有名なデヴィッド・スーシェが演じている点。絵に描いたような悪い奴だけどポワロ先生、じゃなかったスーシェの存在感がポンコツ映画である本作を格上げしている。尊大な権力者だが、わざわざ戦闘機に乗り込んで主人公に一騎討ちを挑む展開はバカバカしくも燃える。吹替は筈見純。ポワロの吹替は熊倉一雄が担当しているが実際のスーシェの地声は低音ボイス。本作では地声に近い声優がキャステイングされたわけで「エグゼクティブ・デシジョン」のテログループの親玉役でも同様に低音の壤晴彦が演じていた。

吹替はTBS放映時のTV版のみ。DVD未収録。吹替入りのBDを出して欲しい。


監督 シドニー・J・フューリー

ルイス・ゴセット・ジュニア(内海賢二)/ジェイソン・ゲドリック(関俊彦)/ティム・トマーソン(麦人)/デヴィッド・スーシェ(筈見純)

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迷彩塗装のF-16。複座型は珍しいかも

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イスラエル国産機クフィール。カナード翼に注目。エリア88の主力機として有名

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リビア軍を指揮するポワロ先生。決め台詞は「豚め!」



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