「Anthropoid(エンスラポイド)」 ハイドリッヒ暗殺。「暁の7人」の(非公式)リメイク

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ナチス高官ラインハルト・ハイドリッヒ暗殺事件の映像化作品。

チェコスロバキア総督ハイドリッヒ将軍はヒトラーの後継者と目されているナチスの高官である。
イギリス当局と亡命チェコ政府はハイドリッヒの暗殺計画(エンスラポイド作戦)を立案。
亡命チェコ軍人の若者たちをヒットマンとしてプラハに派遣する。
なんとか暗殺は成功するが抵抗組織の仲間の一人が裏切り、主人公たちは破滅していく。

暗殺者集団も地元レジスタンスも素人揃いで段取りが悪いのがリアル。
ハイドリッヒを機銃掃射する瞬間、銃がジャムって逆に反撃されたり。
教会に立て籠もった主人公たちが包囲され、なぶり殺しにされるクライマックスは胸に来る。

しかしこれらの映像は既視感バリバリである。
それも当然。1976年製作の「暁の7人」と内容がまったく同じなので。
同じ史実を同じように忠実に描いているので似てくるのは仕方がないのだが、かえってデキの差が際立つ。
「暁」は強烈に陰鬱な戦争史劇の傑作で鑑賞していると緊張感のあまり胃が痛くなるのだが、本作は正直凡作だった。
演出・構成も平坦。キャラ立ちもイマイチ。
2016年製作で近作にありがちな定番規格製品的無個性な作風。
「暁」の70年代的ダウナーな作家性、作風など望むべくもない。
ハイドリッヒの死と、その報復である「リディツェ村虐殺」が台詞のみでアッサリ処理されているのもよろしくない。
予告編を見た限りでは面白そうだったんだけどな。

撮影は「暁」同様、実際にプラハで行われている。
「ゴッドファーザー」のようなセピア色調は悪くない。
ドイツとチェコの資料を調べて可能な限り史実に忠実に作られたそうな。
秘密警察による拷問シーンは「暁」よりえげつない。そんな所を忠実再現しなくてもと思ってしまったり。

主演は「28日後…」のキリアン・マーフィ。
レジスタンスのリーダー役で「ミスト」のトビー・ジョーンズが出演している。

現時点では日本公開未定。ビデオスルーでソフト化されるかも。

※2017年5月追記
日本でも劇場公開される模様。
邦題は
「ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦」
むぅ。もちっとマシなタイトルを付けて欲しかった。

監督  ショーン・エリス

キリアン・マーフィ/ジェイミー・ドーナン/ブライアン・キャスプ/トビー・ジョーンズ
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ヨゼフ・ガプチェク曹長(キリアン・マーフィ)
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レジスタンスのリーダー、ハジェスキー(トビー・ジョーンズ)
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ラインハルト・ハイドリッヒ(多分御本人)
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輸入版BD+DVD





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