デジタルシネマの現状と4K規格の今後 前編

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4Kテレビが売れているらしい。
3Dテレビは予想通り速攻で爆死・滅亡したが4Kは波に乗りつつあるようだ。
4Kコンテンツが充実しないうちは普及しないと思っていたので正直予想外。
実際の購入目的は高解像度目当てではなく、低価格化の影響が大きそう。

「値段が2K・フルHDテレビと然程変わらないのなら4Kを買うか」

みたいな。

最近ドンキホーテが破格値の4Kテレビ「LE-5050TS4K-BK」をリリースして大反響となっている。
50インチで54,800円というお値段は衝撃的。
同一インチのメーカー品だと2K仕様のテレビすら買えない価格だ。
メインボードは東芝製なので品質もなかなかだとか。「ジェネリックレグザ」という呼称は秀逸なり。
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ドンキ謹製バカ安4Kテレビ LE-5050TS4K-BK

DMMは50インチの4Kモニタ「DME-4K50D」を発売。
チューナーがついてないのでテレビではなく「モニタ」だが価格は5万円を切ってる。
まさに「安さは力」。日本メーカーの未来が心配になる。高品質・ブランド需要はなくならないとは思うけどね。

DMM製4Kモニタ。アダルト関連最大手企業DMMは何でも売るなぁ


映画好きからすれば4Kの普及は歓迎するべきなのだが、現状はなかなか難しい。
今回はデジタルシネマの歩みと現状、4Kの今後についてのお話。

映画製作におけるCG処理が一般に認知されるようになったのは「ターミネーター2」か「ジュラシック・パーク」だったと思うが、当時の映画撮影は当然フィルムのみ。
CGはフィルムを一コマずつスキャンしてPCに取り込んでから処理した後にフィルムに焼き戻すという手間が必要だった。コストはかかるし画質も落ちる。オールデジタルで映画を作りたいという要望が出るのは自然な事であった。
銀塩フィルムに映像を定着化させる従来の映画撮影カメラと異なり、デジタルシネマカメラは撮像素子により映像をデジタルデータ化してHDDなどの記憶装置に保存する方式で原理的にはビデオカメラと同じ。
デジタル撮影でもフィルムライクな質感が得られるのはシネマカメラ開発メーカーの研究努力の賜物である。
現在はRED社、ARRI社、アリフレックス社、ソニー、キヤノン、パナビジョンなどのデジタルシネマカメラが使われている。
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CGパワーを世に知らしめたT-1000さん

デジタル撮影のメリットは

・フィルムチェンジの必要が無いので長時間連続撮影が可能
・フィルムが不要。現像・プリントの必要もなく低コスト
・撮影後すぐに記録した映像を確認できる
・編集が容易で画質の劣化がない、コピーが容易
・撮影データに直接CG・画像処理ができる

など。

世界初のフルデジタル撮影による商業映画はジョージ・ルーカスの「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」
撮影に使用されたカメラはソニーのシネアルタ「HDW-F900」であった。
ルーカスは映画製作だけでなく「クローンの攻撃」を上映する映画館もすべてデジタルシネマのみに限定する予定だったが後に撤回している。
公開年の2002年当時ではデジタル式上映を行う映画館はまだ少なかったのだ。2017年現在ではフィルム上映のほうが少数派だけどね。
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世界初のフルデジタル映画「クローンの攻撃」
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シネアルタ「HDW-F900」
ルーカスの依頼を受けたソニーが開発した。本機の登場でデジタル24フレーム撮影が可能になった。

デジタル上映は撮影のデジタル化と同様に映写機器のデジタル化により実用化したシステム。
旧来のアナログ式プロジェクターは画質が悪く35mm映写機の代替機に使用するのは問題外だった。
プロジェクターによる上映が可能になったのはテキサス・インスツルメンツが開発したDLPが登場してからである。
極小のミラーを数百万個敷き詰めたDLPチップが開発されてフィルムを使わないデジタルプロジェクターの上映が可能になった。

デジタル上映のメリットは以下の通り

・上映フィルムのプリントが不要
フィルム上映では2時間映画の場合35mmリールが6巻以上必要。ワンセットのお値段は100万円近い。
デジタルはHDDかBDディスク、もしくはデータ配信でOK。

・低コスト
フィルム代・フィルムの輸送費、管理費、廃棄費が不要。

・高画質
マスターデータと変わらない高画質。フィルムの上映プリントはコピーの際に画質が落ちる。字幕を焼き付けるとなおさらである。

・品質が変わらない
フィルムは上映を繰り返すと退色・傷・ゴミの付着など品質が劣化していくがデジタルは常に同一品質。


まさに良いことずくめのデジタルシネマだが問題がひとつあった。
撮影・上映ともに画面解像度を2Kに規格化してしまったのである。


後編に続く







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