「ゾンビ映画の創始者」ジョージ・A・ロメロ監督死去

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ジョージ・A・ロメロが亡くなった。77歳、病死とのこと。
80年代のビデオバブル・ホラー映画バブル期直撃世代の自分にはロメロ監督は特別の存在だった。
氏の監督作「ゾンビ」は子供の頃に見て以来マイフェイバリット。
鑑賞回数と新規メディアでソフトが再リリースされる度に購入した回数はナンバーワン。
当時の世間の熱狂ぶりも凄かった。
ホラー映画好きのバイブルだった情報誌「ザ・ホラームービーズ」でゾンビの続編「死霊のえじき」が公開されると知った時はそりゃ興奮したモンだ。
友達と一緒に映画館へ見に行った。大画面で見るゾンビの皆さんは格別でありました。
事前情報でサントラがゴブリンではないことを知り大いに残念に思っていたが、ジョン・ハリスンの劇伴が素晴らしくてビックリした。

「死霊のえじき」までのロメロ作品は「映像設計・撮影が素人臭くて安っぽい」のが特徴的。
まるで自主制作映画の如き不安定な画面構成が妙なリアリティと恐怖感を出している。
クローネンバーグ監督の初期作品と似た印象。
この点はロメロがピッツバーグのインディペンデント系映像作家だった事と無関係ではないと思う。

しかし正直なところ「モンキー・シャイン」以降の氏の作品は見るべきものがない。
ただ凡庸なだけの商業映画を撮る監督になってしまったので。
20年ぶりに監督したゾンビ映画「ランド・オブ・ザ・デッド」は空虚な内容で大いに失望。
「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」、「サバイバル・オブ・ザ・デッド」は「ゾンビ」を撮った監督の新作とは思えないショボさで悲しかったなぁ。
時代の先駆者も衰えるという事だろうか。

90年代以降はゾンビ映画も衰退したが2002年公開の「28日後…」、「バイオハザード」で人気が再燃。
現在も活況を呈している。
「28日後…」はロメロゾンビのDNAが感じられて嬉しかった。
コメディ作品の「ショーン・オブ・ザ・デッド」、「ファン・オブ・ザ・デッド」なども面白かったな。
ブラッド・ピット主演の「ワールド・ウォーZ」はデキの方はともかく、こんなアホみたいな大予算でゾンビ映画が制作される事自体80年代の頃には想像できなかった点で感慨深い。
我が国のマンガ「アイアムアヒーロー」、「がっこうぐらし!」などもロメロスピリッツを受継いでいる。
ロメロ監督が創造したフォーマットは今後も生き続けそうだ。

巨匠のご冥福をお祈りします。
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死霊のえじきを演出中のロメロ監督

ロメロゾンビ研究本。濃い内容の名著。





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